2026 年 49 巻 2 号 p. 76-80
症例は9年前に腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の既往のある77歳女性.心窩部痛と嘔気を主訴に受診した.ガストログラフィン造影検査で,初回手術の再建方法がBillroth-I法であると誤認し,癒着性腸閉塞の診断のもと入院となった.入院後速やかに排便が認められたが翌日の朝に高熱と悪寒,心窩部痛が再燃し,腹部CTにて十二指腸から上部空腸にかけての著明な拡張を認めた.初回手術の再建はBillroth-IIあるいはRoux-enY法であり,輸入脚症候群と診断した.緊急手術所見では,遠位空腸のピーターセンherniaによる二次的な輸入脚症候群であり,Y脚の切除再建術を施行した.本例は再建法の誤認とその後の診断遅延に複数の認知バイアスが影響しており,初診(外来),病棟診療において,分析的思考の重要性が示唆された.