言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
フォーラム
上海語のトーンサンディー変種に働く形態統語論の影響
髙橋 康徳
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 147 巻 p. 57-70

詳細
抄録

第1音節の声調が語全体のピッチを決定する上海語では,陽入声が初頭にくる4音節語でのみ2種類のピッチ変種が観察されるが,これらの変種がどのような関係にあるのかは未解決の問題であった。本稿では形態統語構造に注目して変種の出現分布を調査し,従来の報告にあった2種類に加えてもう1種類の変種が存在すること,変種の出現分布は形態統語構造の影響を大きく受け,特に2+2変種と第2音節連結変種は「2音節名詞+2音節名詞」の環境でしか出現しないことを示す。さらに本稿では,なぜ上記2変種が「2音節名詞+2音節名詞」でしか出現しないのかを考察する。2+2変種では形態統語構造によるフット形成方法の違い,第2音節連結変種では上海語のトーンサンディーの通時変化プロセスに注目することで出現分布を説明できる。

著者関連情報
© 2015 日本言語学会, 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top