1tha:, B
2tha:, C
2tha:とすると,AとBは同一音節で声調が異なり,BとCは同一音節で声調も同じである。 本考察では,遠称代名詞の使用例が多い西夏語仏典を資料とし,A~Cがどのような環境で現れるかを検証した。遠称代名詞に後続する要素に着目し,Aに後続するのは名詞,「~と」,「~に随い」,「~により」などを意味する後置詞,Bに後続するのは「~の,~を」,「~の上」,「~の間」,「~の所」などを意味する後置詞,のような傾向があることを示した。すなわち,A, Bは基本的に相補分布をなし,その使い分けが,それらに後続する要素の語彙的な違いによることを述べた。CについてはA, Bと異なる観点から検討し,先行研究に指摘されない前方照応的な機能を提示した*。