言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
特集 類別詞の多様性
ダパ語の類別詞:定義と分類
白井 聡子
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2022 年 162 巻 p. 25-46

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抄録

本論文ではまず体言化理論に基づいてダパ語の類別詞を「数詞に後続して体言化し,その数詞基盤体言化形式を範疇化しうる語類」と定義する。この定義により,類別詞と関連する現象との区別が明らかになるほか,類別詞が見せるさまざまな現象を統一的に記述できる。次に,意味論的分類を援用しつつ,注目すべきいくつかの類別詞についてその特性を検討する。汎用個別類別詞jiと人間専用の類別詞zjaがいずれも人間に用いられるが,これはチァン諸語の中でも北部の言語に見られる地域特徴であると考えられる。類別詞の語源については,少なくとも借用語に由来するものと,固有内容語からの文法化が含まれることが確認できる。最後に,固有内容語から類別詞への文法化現象について,数詞を含む複合語および数詞「1」を用いた動名詞化と対比して検討した。これらは共時的には異なる構造であるが,文法化の元となる形式に共通性があると結論づけられる。

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© 2022 日本言語学会, 著者
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