言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
特集 認知言語学の現在地と今後の展望
アブディダ語におけるの談話機能
―認知言語学の研究領域の拡充を目指して―
柴﨑 礼士郎
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2024 年 166 巻 p. 5-28

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抄録

本稿ではアブディダ語(東クルー族,コートジボワール)の語りテキストで使用される標示表現を分析し,同時に,認知言語学における談話分析研究の再検討と拡充を狙いとする。標示表現は外置現象に関する先行研究で報告されている現象とは異なる振る舞いを示している。認知言語学では外置現象を中心的課題として取り組んだ纏まった研究史がないため,同分野での実証的談話研究を充実させるには良き研究手法である。標示表現の特徴は語彙名詞を左方転移させる機能と話題化する機能を担い,認知言語学は個々の機能とパターンを一般化して纏め上げる理論的特性を持つ。考察結果から分かることは,コンテクストに基づく実証的な談話分析を,一般化可能な理論的環境で推進する重要性である。

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© 2024 日本言語学会, 著者
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