抄録
本稿は, サモア語数詞の統語的特性を示すことを目的とする。
サモア語における数詞は, 基本的には, ただ二つの用法, すなわち, 動詞的用法と名詞的用法のみをもつ。動詞的用法においては, 数詞は, 時制・相マーカーと共に動詞句を形成し, 名詞的用法においては, 冠詞と共に名詞句を形成する。名詞を限定する際には, 数詞は, 時制・相マーカーと共に関係節を形成する。これは, 動詞的用法の中に含めることができる。
この解釈によると, 複合数詞, 年令表現, 数え上げ, のような数詞の諸用法がうまく説明される。
更に, 数表現においてよく使われる小辞eは, 元々は分類辞であったのが, サモア語において, 時制マーカーとして, 再解釈された, という仮説を提示した。