現代社会研究
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健康意識の都道府県格差の社会経済的な要因分析
鈴 木 孝 弘田 辺 和 俊
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2018 年 2018 巻 16 号 p. 15-22

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抄録

高齢化率が年々高まるわが国にとって社会保障費は増大の一途であり、その削減対策の一つとして地方自治体は健康寿命の向上に努めている。健康寿命の要因を解明するために、都道府県別の健康意識格差解明の実証分析を試みた。『国民生活基礎調査』の「日ごろ健康のために実行している事柄は何か?」という質問に対して「特に何もしていない」と回答した人の比率を健康無関心率とし、その数値を目的変数に用いた。説明変数には、医療・福祉、経済・労働、教育、人口・世帯、自然環境の5分野の40種の社会経済的要因を用いて、サポートベクター回帰を適用して健康意識格差の要因解明を行った。その結果、無関心率を統計的に有意な精度で再現できる12種の決定要因が得られ、特に運輸郵便業等の産業別就業率の影響が非常に大きいことが明らかになった。また、産業別の就業率と仕事時間、残業割増金が決定要因となったことから、最近、社会問題視されている長時間労働が多い業界における過労死の原因の可能性が示唆される等、これまで見出されていなかった新たな知見が得られた。さらに、無関心率が国内で突出して高い青森県について健康意識改善策を検討し、提言を試みた。

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© 2018 東洋大学現代社会総合研究所

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