日本地球化学会年会要旨集
2004年度日本地球化学会第51回年会講演要旨集
セッションID: 2A01
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海洋の微量元素・同位体マッピングによる生物地球化学サイクルの解明
亜寒帯北太平洋鉄散布実験SEEDS2001における微量金属の動態
*宗林 由樹衣笠 正敏中塚 清次岡村 慶石田 恒己武田 重信西岡 純津田 敦
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抄録
2001年津田らは、北太平洋において初めての鉄散布実験を西部北太平洋亜寒帯域(48.5°N, 165°E)で行った(SEEDS2001; Tsuda et al., Science, 300, 958-961, 2003)。私達はこの実験において海水中の溶存態,酸可溶態および粒子態微量金属を観測した。実験海域では鉄散布前の溶存鉄濃度は0.1 μM以下であったが、反応性粒子態鉄濃度は約5 nMであった。この粒子態鉄はおそらく大気から塵として供給されたものであるが、植物プランクトンにとって利用しにくい化学形であったと考えられる。また、私達は溶存Co, Ni, Cu, Zn, Cd濃度の減少を見いだした。外洋において植物プランクトンの増殖時にこれらの濃度が変化することが見いだされたのは、これが最初である。金属元素の減少量比は植物プランクトンの組成比とほぼ一致していることから、これらの金属は植物プランクトンに取り込まれたと推定される。
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© 2004 日本地球化学会
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