抄録
大気中エアロゾル中の水溶性有機態窒素の重要性が指摘されているが、その測定例は非常に少なく、発生源や挙動などほとんど分かっていない。特に東アジア大陸の影響を強く受ける西部北太平洋においては、その報告例がない。海洋大気中の水溶性有機態窒素の時空間分布や粒径分布の情報を得るために、船舶によって、エアロゾルを捕集し、水溶性有機態窒素とアミノ酸の分析を行った。人為起源の影響を強く受けている時、アミノ酸は微小粒子中に多くが存在しており、長距離輸送されることが予測される。また、無機態窒素と比較すると、約1%と非常に小さな割合であった。今後、水溶性有機態窒素とアミノ酸のさらなる分析を行い、季節変動や窒素化合物としての重要性など検討を加えていく。