抄録
ヨウ素は、(i)原子力関連施設からの放射性ヨウ素の放出との関連で環境化学的に重要、(ii)必須元素でありヨウ素の欠乏による甲状腺障害が見られる地域がある、などの理由から、地球表層での挙動に関心が持たれる元素である.このうち無機態のヨウ素は、I-とIO3-という形態のイオンをとり、水圏ではIO3-の方が固相に吸着され易いことから、ヨウ素の挙動は酸化還元状態に大きく影響される.そこで本研究では、ヨウ素K端XANES法による固相中のヨウ素の直接スペシエーション法を確立し、環境試料に応用することを試みた.室内実験として土壌-水系で水分量を変化させることで酸化還元状態を変動させ、ヨウ素の固液分配と固相および液相中でのI-/IO3-比を調べた.その結果、より還元状態でI-の割合が増加し、それに伴い水相に分配されるヨウ素濃度が増大した.また同様の手法を天然土壌試料やマンガン団塊に応用した.