主催: 日本地球化学会
共催: 日本化学会
近年、西部北太平洋亜寒帯海域において鉄の不足が植物プランクトンの増殖を制限している事が広く認識され、一次生産の季節的変動が観測されている西部北太平洋亜寒帯域および親潮海域には、何らかの過程によりある時期に鉄が供給されている事が考えられる。本発表では、西部北太平洋亜寒帯域、親潮海域、オホーツク海域の観測結果から、その供給源について可能性を考察する。西部北太平洋亜寒帯域および親潮海域の海洋表層への鉄供給経路としては、エアロゾルによって大気経由で輸送されるものが主であると考えられてきた。本研究の結果では、当該海域は表層混合層以深の中層鉄濃度が他海域に比べて極めて高く、冬季混合層が深くまで達するため、冬季の鉛直混合による下層からの鉄の供給も無視できないことが示唆された。発表では、当該海域の表層混合層以深の中層鉄濃度が他海域に比べ高い理由を、南部オホーツク海の影響と水塊形成過程を含めて考察する。