日本地球化学会年会要旨集
2005年度日本地球化学会第52回年会講演要旨集
セッションID: 3A08
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課題講演3 炭酸塩の地球化学---炭酸塩を用いて過去から未来への地球環境変動を解読する---
サンゴ礁の生物から読み取る高分解能環境情報_-_シャコガイ殻の成長線と同位体比の例_-_
*山田 努邊見 紗知浅海 竜司井龍 康文
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抄録
サンゴ礁の浅海域に生息するシャコガイ類は,その軟組織中に共生する藻類の代謝活動が殻形成を促進するために,成長速度が非常に速く,巨大なアラレイシの殻を形成する.また,この殻には数μmから数十μm程度の細かい成長線(日輪)が認められる.本講演では,1996年に石垣島南西海岸の吉原のサンゴ礁で採取したシャコガイ(Hippopus hippopus)の成長線(日輪)の幅および20μm間隔で測定した炭素・酸素同位体比の変化と生息環境(水温・塩分・海水の同位体組成・日射量等)との関係を議論する.成長線の幅は,夏は約45μm,冬は約20μmという年周期変化を示し,日射量の年変化を反映しているものと考えられる.また,同位体組成は,水温と海水の酸素同位体比組成の変化に規制されていると考えられる.したがって,シャコガイ殻の成長線幅や同位体組成の変化から,サンゴ礁域の高分解能(日単位)の環境情報を読み取ることが可能である.
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© 2005 日本地球化学会
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