抄録
本研究は、近年の地球温暖化による世界海洋大循環の変動を予測するために、そのミニチュア版である日本海の調査・研究を目的とした。今までの研究では、溶存酸素濃度から表層海水の沈み込みが底層付近において減少していることが報告されている。しかし、1998・2001・2003・2004年に観測を行った結果、単純消費される溶存酸素濃度は底層の場合ほとんど差は無く、一方深層水では溶存酸素濃度が高い水塊が確認された。そこで深層と底層へ混入した水塊の起源を、溶存態希土類元素濃度から推定した。その結果、表層水の影響を強く受けた水塊と沿岸水の影響を受けた水塊が移流していることが示唆された。