抄録
沿岸堆積物中の金属元素の定量は海洋環境評価の一つの手法として重要である。また、堆積物中の金属元素の総量だけでなく形態を明らかにするスペシエーションも環境評価において全含有量による評価とは別に重要である。スペシエーションの方法として逐次抽出法などが挙げられるが、本研究ではより生物相に影響の深い金属元素についての議論を可能にするため、無機試薬ではなく、有機溶媒を用いて大阪湾堆積物から金属元素の抽出を行い、13種類の金属元素について定量し、水平分布図を作成した。それと並行して初期続成過程における酸化還元状態の変化に起因する化学種の変化などを明らかにするために伊勢湾・三河湾で採取した50cm-1mのコアサンプル中の金属元素のバルク分析値、有機溶媒で抽出される金属元素、堆積物中のN,S,C濃度についての深度分布を測定した。二つの実験結果について報告する。