抄録
天然でのアクチノイドの挙動を知ることは放射性廃棄物処理の安全評価に関して重要である。地層中のUの挙動は化学状態に支配されており、XAFS法を用いて天然試料中のUの化学状態を決定することは非常に有効である。しかし、蛍光XAFSを用いて天然試料中のUの化学状態を決定する場合、蛍光エネルギー領域の近いSrとRbによる干渉が問題となる。そこで本研究ではラウエ型の分光結晶を用いてブランクに対する相対的なUの信号強度を上げ分析を行った。新潟県金丸鉱山で採取されたコアサンプル中のU、S、Feについて酸化還元状態を調べた結果、深度10m付近のU濃集層でSとFeはともに最も還元的な化学形態であった。Uは深度ともに還元種の割合が増加した。Uは上方から供給され10m付近で還元度が沈殿するまでに至り濃集層を形成したと考えられる