2003年に茨城県神州町で井戸水から毒ガスの分解生成物と考えられるジフェニルアルシン酸・フェニルアルソン酸(PAA)が検出され,住民に健康被害をもたらした.これらの化合物の環境中での挙動は詳細が分かっておらず,特に土壌中での挙動は未解明な点が多い.今回,土壌中によく見られるFerrihydriteにPAAを吸着させ,その吸着挙動を調べた.100 mg/kgのPAAを0.03 gの2-line Ferrihydriteに吸着させ,固液の分配比と吸着形態を決定した.固相に吸着したPAAの形態は,取り出した固相をPO4溶液に懸濁させることで一部脱着させ,HPLC-ICP-MSを用いて調べた.PAAは,pHの低い領域でFerrihydriteに良く吸着した.また,吸着したPAAの形態は,多くはPAAのままであったが,一部無機ヒ素になっていることが確認された.