トリブチルスズ(TBT)、トリフェニルスズ(TPT)などの有機スズ化合物は、船底塗料として1960年代から使用が開始されたが、有機スズ化合物が水中へ溶出し、水生生物に影響を与えることから、1980年から使用規制が行われた。しかし、有機スズ化合物は水圏の吸着剤と強く結合して堆積物中に蓄積する。そのため、堆積物は有機スズ化合物の長期的な汚染源になる。これまでの研究で、粘土鉱物、有機物へのTBTの吸着挙動についての報告はあるが、他の有機スズ化合物[モノブチルスズ(MBT)、ジブチルスズ(DBT)]の吸着挙動について調べ、比較を行ったものはほとんどない。本研究では、粘土鉱物、腐植物質を用いて、有機スズ化合物の吸着実験を様々な条件下で行い、粘土鉱物への有機スズ化合物の吸着挙動に及ぼす腐植物質の影響を調べた。