抄録
水がサブダクションを通じて深部まで運ばれているとするならば、海洋プレートの沈み込みに伴う堆積物と間隙水との間の塩素同位体分別では、塩素が水和錯体として関与していると考えることができる。しかしながら、溶存する陽イオン種に比べて塩素の様な単原子陰イオンの水和環境や、水和を伴う同位体効果については、いまだ未解明の部分が多い。そこで演者等は、一連のクロマトグラム実験により得られた結果を基に、塩化物イオンの水和錯体に着目し、塩素同位体分別効果を検討した。本講演では、塩素同位体効果を評価する上で最近用いられている飽和溶液系の同位体分別係数が希薄溶液系では成り立たないことを示し、その原因が塩素同位体効果への水和の影響で説明できる可能性のあることを報告する。