抄録
一酸化二窒素(N2O)は地球温暖化およびオゾン層破壊の原因として重要な物質である。その発生源のひとつに家畜排泄物の処理が挙げられ、対策が求められている。これまで濃度の測定による研究が行われ、多様な処理方法や畜種の存在によりN2O放出量(フラックス)が大きく変動することが明らかにされている。一方で安定同位体比は、起源物質や生成・消滅過程を反映した質的な情報を与える指標であり、個々の発生源における反応過程や地球規模での物質収支の推定に利用できるものとして期待されている。本研究では、家畜排泄物堆肥化過程で発生するN2Oの窒素および酸素安定同位体比、さらに窒素の分子内同位体分布、また前駆物質である有機体窒素とアンモニウムの窒素同位体比を測定した。この結果をもとに、堆肥化過程で発生するN2Oの大気への寄与を見積もるとともに、その生成プロセスを明らかにすることを試みた。