抄録
韓国済州島Halla山で採取したエアロゾル中のPAHと、バイオマス燃焼由来の指標成分であるレボグルコサン(LG)およびデヒドロアビエチン酸(DA)の濃度変動を調査した。PAHは燃焼過程一般によって生成する物質であり、LGはセルロースの熱分解生成物、DAは針葉樹樹脂の熱変成物質である。エアロゾル中PAH濃度は23~7500pg、LGは0.3~840ng/m3、DAは検出限界未満~130ng/m3の範囲でそれぞれ変動し、夏期に低く冬期に高濃度であった。後方流跡線解析の結果とあわせると、PAH濃度は大陸気塊の輸送、周辺地域からの汚染物質の滞留などの要因によって大きく変動したことが分かった。秋~冬期にはLGの濃度が大幅に上昇しており、バイオマス燃焼由来のエアロゾルが多く飛来していたことが示唆された。また、冬期(11月~1月)のPAHおよびLG濃度の変動が相関していることから、この時期のPAHの発生源としてバイオマス燃焼が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。