抄録
環境中に存在する硫黄化合物の硫黄同位体組成は、その生成過程や環境により固有の組成を持つため、降水に含まれる硫黄化合物の供給源を推定する際、硫黄同位体比は有効なツールとなる。本報では、EA-IRMS法による硫黄同位体比の測定条件の検討を行い、青森県内3地点において採取した降水中に含まれる硫酸イオンの硫黄同位体比を測定し、地点間の比較・検討を行った。その結果、非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比は3地点とも明瞭な季節変動が認められないものの、非海塩性硫酸イオン濃度は3地点とも春季に高くなる傾向を示した。このことから、春季に付加された非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比も3~4 ‰前後の値を有していたと推定される。また、この時期の非海塩性硫酸イオンの硫黄同位体比が3地点でほぼ一致していることから、広域的な影響により非海塩性硫酸イオン濃度が増加した可能性が高いと判断された。