抄録
東南極氷床内陸に位置するドームふじで2001年に掘削された122m長の氷床コア中の化学成分の変動の要因を明らかにするために、コアの安定同位体比(δ18O)とd-excess、化学成分(MSA-、Cl-、nssCl-、NO3-、SO42-、nssSO42-、Na+、NH4+、K+、nssK+、Mg2+、nssMg2+、Ca2+、nssCa2+)濃度、EC、pHの主成分分析を行った。その結果、それらの変動のうち55.3%が主要な3つの変動で説明でき、第1主成分(寄与率約23%)は大気循環の強度変動を反映していると考えられる。しかし、気温に対する陸域起源成分の変動が様々な時間スケールの先行研究で報告されている逆相関の変化と異なった変化を示していたことから、陸域起源成分の変動を引き起こす要因は時間スケールによって異なることを示唆している。