日本地球化学会年会要旨集
2006年度日本地球化学会第53回年会講演要旨集
セッションID: 3C10
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海洋
海洋表層における希土類元素の供給・水平輸送過程の解明
田副 博文小畑 元蒲生 俊敬
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抄録
海水中に極微量含まれている希土類元素は複数の供給源を持ち、その同位体比は濃度を定量するだけでは知りえない供給源に関する情報を与える。本研究では海洋表層のセリウムおよびネオジムの同位体比分布を明らかにした。海洋におけるCeは、Ndと同様にアジア大陸や島弧などの火山島が重要な供給源になっている。しかし、Ce同位体比分布の緯度分布はNd同位体比とは異なる傾向を持っており、非常にローカルな影響を受けやすいことを示した。東京湾では河川から供給される陸源物質と黒潮に由来する外洋海水との単純混合によって、その供給過程を説明可能である。しかし、太平洋赤道域においては、太平洋中央部からニューギニア島周辺海域に輸送される間に、中央部に存在するCeの55%が除去され、新たに島弧火山岩からの供給(+97%)を受けていることが示唆された。一方、Nd同位体比の結果は、ニューギニア島周辺海域の表層水ではNdはほとんど除去されていない(<1%)ことを示しており、両元素の挙動の相違が明らかになった。
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© 2006 日本地球化学会
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