抄録
2004年西部北太平洋亜寒帯域において行われた鉄散布実験中(白鳳丸KH-04-3次研究航海SEEDS-II)、海水中の希土類元素の挙動を調べた。鉄散布後、12日目に海水中のクロロフィル濃度は最大となり初期値の約3倍となった。この鉄添加区における生物起源粒子の増加とともに、海水中の希土類元素組成にも変化がみられた。海水中のLa/Yb比は減少し、軽希土類元素が優先的に除去されていることが示された。植物プランクトンブルームという短期間の現象においても、海水中の希土類元素には系統的な除去過程が作用していることを示している。