抄録
一般に、鉱物の酸化状態は鉄の2価・3価比から推定される。しかし、地球の下部マントル(深さ660km~2900km)の主要構成鉱物であるペロヴスカイト、フェロペリクレース中の鉄の酸化状態は、結晶化学的な制約から酸素分圧に依らず一定で、下部マントルの酸化状態は未だに詳細が不明である。そこで、本研究では、フェロペリクレース中のCrの酸化還元状態に着目し、X線吸収端近傍構造(XANES)の測定を行った。測定に用いた試料は、天然ダイヤモンド中の包有物と酸素フガシティーをコントロールした条件で合成した試料(マルチアンビル高圧合成装置を使用)であった。いずれの試料からもCr2+の存在が示唆され、合成試料においては、酸素分圧によるCr2+/Cr3+の違いが見られた。