抄録
Asは一般的に天然水中において三価または五価で存在し、価数や形態の違いによって異なる毒性や挙動を示す。そのため存在周辺域に与える影響も異なってくることからAsの価数別定量を検討する必要がある。本研究では、群馬県草津白根山西麓域の万座温泉を試料としてAs価数別定量を行い、当該地域におけるAsの分布及び挙動を捉えることを目的とした。実験方法は、pH 2-4の水中において高酸化状態の五価Asが共存する中で、Pb(PDC)‹SUB›2‹/SUB›(PDC=pyrrolidinedithiocarbamate)により三価Asのみを共沈させ、共沈物中のAsの定量をAsに対して高感度である中性子放射化分析により行うというものである。