抄録
Hf-W年代測定法は、地球や太陽系の進化を10万年スケールで検証することが出来る年代測定法である。近年、Wは宇宙線照射により、その同位体組成が変化する可能性が示唆されている。さらに、隕石物質から質量に依存しない同位体分別効果も報告されている。本研究では、隕石物質におけるW同位体分別を調べると共にそのHf-W年代に与える影響を検討する。本発表では、炭素質コンドライト中のW同位体組成について議論を行う。放射壊変由来のε182Wは約-2.0εを示し、これまでの結果と調和的であった。同位体分別を表すε186Wは、地球の火成岩中のε186Wと比較して、約+1.0εほど変動しており、火成岩と炭素質コンドライトとの微小な同位体分別はジャイアントインパクト時の液体金属相-液体珪酸塩相分離による同位体分別である、と推測する。また、質量に依存しない同位体効果についても議論する予定である。