抄録
超伝導磁石の発展とコンピュータによる情報処理能力の向上により、高分解能核磁気共鳴スペクトル法(NMR法)は、未知の有機化合物の構造を知るうえで、大変役に立つ手段となっている。精製した有機化合物の構造決定に用いられることの多いNMR法ではあるが、近年、土壌有機物および海洋有機物の構造解析に用いられ、地球環境に存在する有機物の部分構造に関する情報が蓄積されつつある。本講演では、特に海洋有機物中の脂質に高分解能核磁気共鳴スペクトル法を適用し世界で初めて決定した海洋の脂質の化学構造を事例に、地球環境試料への高分解能核磁気共鳴スペクトル法の適用の有用性を探る。