有機物や二価鉄などによる、土壌中の汚染六価クロムの還元反応は、環境化学的に重要な反応である。しかし、これまでの研究では六価クロムの還元反応速度が対象であり、反応後のクロムの化学形態についてが着目されてなかった。これは三価クロムが毒性が低い難溶性の塩になることが原因であろう。しかし、六価クロムが時間とともに還元反応によって消え失せてしまうということは、過去の汚染の記録が失われることを意味する。そこで、本研究は、状態分析(形態別分析違法)を用いて、汚染物質として放出された六価クロムから還元されて出来た三価クロムと、天然界に元々存在する三価クロムを区別することを目指す。状態分析法としては、化学的手法として逐次溶解法を、物理的手法としてX線吸収微細構造解析(XAFS)法を用いる。反応系としては、土壌有機物のフミン酸と六価クロムの還元反応に着目し、その還元反応素過程の解明も同時に目指す。