抄録
近年,プロトン移動反応-質量分析計 (Proton Transfer Reaction-Mass Spectrometer: PTR-MS) を用いたVOCの測定装置が市販されるなど実用段階に入り,装置のキャラクタリゼーションと改良ならびに多くのフィールド観測やフラックスの測定がなされているところである.しかしながら,四重極マスフィルターを使用している市販のPTR-MSは検出感度が高く,装置の運用が比較的簡便ではあるが,質量数を走査(スキャン)していく方式であるため,高質量数まで漏れなくスキャンしようとすると時間を要する上,特に高質量数領域における未知化合物の検出は困難である.そこで,我々はPTRに基づくイオン化に飛行時間型質量分析計 (Time-of-Flight Mass Spectrometer, TOFMS) によるイオン検出を組み合わせることにより、大気中に存在する多種多様なVOCの多成分リアルタイム測定を可能にした.