抄録
軽元素安定同位体比の測定にはファラデーカップ検出器を複数備えた磁場型質量分析計がよく用いられるが、分析対象成分をCO2、N2などの安定な気体に変換して導入しなければならないため、試料の前処理が必要となる。環境中の微量成分をオフラインで分析する場合、多くの試料と時間を要し、オンラインで処理できる場合にも化学変換により分子内の同位体分布のような元の化合物固有の情報は失われてしまう。演者らは、質量分析計のイオン化室におけるフラグメンテーションを利用した質量分析法を考案し、温室効果気体である一酸化二窒素(N2O)のNの分子内同位体分布を高精度で迅速に測定することに成功した。この方法を、大気中硫黄の物質循環において重要な役割を担っている硫化カルボニル(COS)の3種の硫黄同位体(32S, 33S, 34S)測定に適用する試みを開始したので、予備的な結果について発表する。