抄録
耐候性鋼は表面に発生する保護性さびにより腐食速度が低減できるため,無塗装でも橋梁鋼材として使用できる.ただし,腐食環境の厳しい条件下では保護性さびが期待どおりに生成せず,充分な耐食性を発揮しない.したがって,耐候性鋼を利用する際には,建設予定地域における耐候性鋼の腐食しやすさを正確に評価し,地域環境に見合った仕様を選定する必要がある.鋼板の腐食には付着塩類量が関係するため,各地域での付着塩類の組成および付着塩類の挙動に関する知見を得ておく必要がある.そこで,島根県内の耐候性鋼橋梁の付着塩類と腐食状況の関係について調査した.海岸に近い橋梁は,海塩の影響のためにNa+とCl-の付着量が多く,腐食の進行も早い傾向がある.海岸から3km以上離れた,平野部または山間部では,海岸部に比べてNa+とCl-に乏しく,一方でCa2+やSO42-に富む傾向がある.これらの橋梁では,腐食の進行が穏やかである.