抄録
Green rust (GR)はFe(II)とFe(III)を内包した水酸化鉄であり、還元能を有する事からredox-activeな元素の還元剤として注目されている。アンチモン(Sb)はヒ素(As)と同族元素であり、両元素ともに毒性が強く環境中への汚染が問題視されている。Sb, Asの環境動態、毒性は酸化数に大きく依存するため、本研究ではGRとSb, Asとの相互作用について調べた。実験はbatch系でGR/Sb(V), As(V)吸着実験を行い、XAFS法を用いて固相中Sb, Asのスペシエーションを行なった。XANES解析の結果、GRに吸着したAs(V)は還元されず24h後もAs(V)として存在していたのに対し、Sb(V)はSb(III)へ部分的に還元された。また、EXAFS法からSb, Asの局所構造を調べた結果、Sb, Asはcorner-sharingの形態でGRに吸着していることがわかった。