抄録
「EFA2000評価・世界的総括(Education for All 2000 Assessment Global Synthesis)」は,「万人のための教育」へ向けた1990年以来の取り組みの現実的な成果を評価しつつも,基礎教育を取り巻くさまざまな問題が未解決であることを指摘する。本研究においては,EFAへ向けた取り組みとしてユネスコと広島大学が共同で行った「遠隔地小学校児童のための識字教材開発」プロジェクトの内実を考察し,その意義を3点あげた。すなわち,(1)問題指向型の識字教材内容,(2)授業の改善のためのネットワークの構築,(3)異なる教材観,授業観の間の対話である。また,EFAを現実のものとするために克服すべき課題が「ダカール行動の枠組み(The Dakar Framework for Action)」の記述の中に内包されていることを指摘した。