東シベリアタイガ林は、乾燥した永久凍土上に成立した落葉針葉樹のカラマツが優占する広大な森林地帯で、降水量の変動は永久凍土の水循環系の中で遅れ時間をもって土壌水分を変動させ、炭素固定量を変動させていると考えられる。そのメカニズムを明らかにするため、カラマツ炭素・窒素の安定同位体比、樹体内の硝酸の窒素・酸素同位体比を測定した。炭素同位体比は前年の晩夏の土壌水分に依存し、水不足が炭素固定を制限していることを示していた。また、葉の窒素含量の年々変動、および硝酸酸素同位体比は、大気降下物中の窒素が葉から吸収されている可能性を示しており、貧栄養な状況も炭素固定量を律速している可能性を示唆している。