抄録
自然界での溶存有機物の光化学的分解過程には、溶存有機物自身の光吸収による分解と亜硝酸イオンや硝酸イオンなどの光分解から生じるヒドロキシルラジカルなどの活性酸素による分解がある。本研究では、天然水中の溶存有機物について、光化学反応による光とヒドロキシルラジカルの分解過程のそれぞれの役割を明らかにするため、光を用いることなくヒドロキシルラジカルを発生することのできるγ線照射実験と光照射実験を行ない、溶存有機物の光化学的特性と分子量分布の変化を比較し調べた。その結果、光照射では照射時間とともに平均分子量は低下し、光による低分子化が見られた。その一方、γ線照射では溶存有機物の分子量分布の変化は光照射に比べて小さかった。