抄録
陸上付加体は主に付加プロセスの違いから大きく二つに分類される.それは,剥ぎ取り付加したと考えられている砂岩泥岩主体のタービダイト層と,底付け付加したと考えられているメランジュ帯である.四万十帯では,このダービダイト層とメランジュ帯が交互に繰り返している.本研究ではこの二つの付加体の堆積年代の差と,底付け付加体内部の堆積年代の変化の様子をとらえ,付加が間欠的か定常的かを明らかにした.さらに,海溝への堆積物の供給量とプレート相対運動速度をある期間において一定とした場合,付加せずに沈み込んだ堆積物の質量を算出した.これにより現在,未解明である沈み込み帯における,物質のフラックスを考える上でも重要な情報を与える可能性がある.