抄録
海洋表層から放出されるジメチルスルフィド(DMS)やイソプレンなどの生物起源揮発性有機化合物(BVOC)はその二次反応生成物が雲凝結核として働くなど大気環境において重要な役割を担っている可能性がある。しかし、これらの発生量、濃度分布については、不明な点が多く、特に、海洋起源イソプレンの観測例は少ない。本研究では、波照間島(24.1ºN, 123.8ºE)におけるVOC連続観測を基にして、亜熱帯海域における洋上大気中イソプレン、DMSとヨウ化メチル濃度の日変化を調べた。2005年6月中旬~8月の観測データのうち、風向が北東~南のデータに限って海洋性大気中イソプレン濃度の日変化を調べたところ、早朝に極大、正午過ぎに極小となり、陸域(森林)の場合と全く逆であることが明らかとなった。DMSとヨウ化メチルはイソプレンほど顕著な日変化を示さなかった。