抄録
かつて豊潤の海と呼ばれ、アサリを代表とする二枚貝の大きな漁獲を誇っていた有明海は、近年漁獲量の低迷が社会問題となっている。しかし、有明海がその歴史を通じてずっと豊潤の海であったのか、ということについては疑問の余地があり、時代を通じて二枚貝の個体数がどのように変化してきたか検証が必要である。また、その個体数を支配する要因について解明することが、近年の個体数減少の原因を探る上で不可欠である。そこで本研究では有明海沿岸で採取された各堆積層の堆積年代が決定されているジオスライサー試料(下山ら,2009)を用いて、二枚貝の個体数変化とその貝殻中に残された硬タンパク(コンキオリン)のCN同位体比を用いて二枚貝の食性変遷史を明らかにすることを目的とした。