生物起源揮発性有機化合物(BVOC)は、対流圏オゾン生成やエアロゾルの生成など、大気化学的な重要性が注目されている。しかしながら、炭素数15以上の比較的高分子量なBVOCの中には、大きな放出量を持ちながら見過ごされている未知化合物あるいは未知化合物群が、いまだ残されている可能性が考えられていた。そこで、本研究では、分子量の大きなBVOCに適した分析法を新たに開発し、野外観測を行った。その結果、ネバダ州の試料からは、未知のBVOCが高い放出量で検出された。これらの化合物を同定し、BVOC放出量の全球モデルMEGANを用いて、放出量を推定したところ、砂漠地域における日焼け止め物質のBVOC総放出量に占める割合は、最大で50%にも及び、エアロゾル生成に関しては、当該地域の植生により、90%以上の寄与を持ちうることが分かった。