本研究では、沖縄・辺戸岬で海洋エアロゾルを粒径別に採取し、低分子ジカルボン酸と関連化合物および主要イオンの粒径分布を測定した。分析したすべての粒径に、C2-C12 ジカルボン酸、C2-C9オメガオキソ酸、ピルビン酸、α-ジカルボニル(グリオギザール、メチルグリオギザール)を検出した。ほとんどのステージで、シュウ酸が最も優位なジカルボン酸であり(C2, 159-236 ng m-3)、サブミクロンサイズ(0.65 -2.1 µm)に濃集されていることが明らかとなった。このことは、シュウ酸が大気中に存在する揮発性有機物の光化学酸化で生成され、微粒子に吸着されることを意味している。一方、アゼライン酸(C9)は、サブミクロンと共に粗大粒子(3-5 µm)にも濃度のピークを示し、海洋起源の不飽和脂肪酸の二重結合が海洋エアロゾル表面にて酸化されている可能性を示した。