抄録
熱水活動の時間変動を解明するための熱水性重晶石を用いたESR年代測定の実現に向け,海底熱水系における自然放射線の年間線量率の評価と重晶石のESR測定を行った.重晶石は短冊状結晶でチムニー全体に広く分布しており,放射線の放出が確認された.低バックグラウンドGe半導体検出器を用いて重晶石中の放射性元素の量を測定した結果,226Raが7.62 Bq/g含まれていた.この結果からチムニー中心部における年間線量率は,300 mGy/yと求められた.ESR測定の結果,重晶石はg値からSO3-中心と考えられる信号を示した.この信号の線量応答を調べたところ,X線 (2kGy) 照射した重晶石のESR信号強度は未照射のものと比べ約2倍増加した.この結果から,南部マリアナトラフから採取されたチムニーの重晶石のESR年代測定が可能であることがわかった.