抄録
西オーストラリア北西部に位置するピルバラクラトンには25-35億年の堆積岩が産出し、その北東部に位置するマウントゴールズワージー地域(マウントグラントも含む)からのチャートは、形態が多様な炭素質の微細構造が見つかっている。しかしながら、この地域における年代学的情報は不明瞭であるため、他地域との地層対比については詳細な結論には至っていない。そこで微化石を含んでいる黒色チャートの堆積年代を明らかにすることを目的に、チャートと互層する火山灰層中に産するジルコンについて、高感度高分解能イオンマイクロプローブ(SHRIMP)を用いた局所U-Pb同位体分析を行い、この地域における地質進化に時間的制約を与えることを試みた。結果はU-Pb系が閉じていないと考えられるディスコーダントなジルコンであること、また3.5Gaに起源を持つジルコンと、3.0-2.8Gaに起源を持つジルコンが混在していることが確認された。