日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 2P24 09-P04
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地球化学と生理学の融合:生命圏のフィジオロジーの探究
化石ゴールのバイオマーカー分析:植物-昆虫共生系の古生物化学的探索
落合 総一郎*沢田 健中村 英人塚腰 実秋元 信一
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抄録
昆虫などによって植物体に形成されるゴールの化石の化学的同定を行なうために,化石ゴールから特有のバイオマーカーや化合物の組成分布を探索した。また,化石における指標の保存を検討するため,現生のゴールも分析して比較した。試料は,中期更新統,大阪層群で産出した枝ゴール化石(被子植物のイスノキにアブラムシが形成した)と,化石とほぼ同一種の現生植物の葉,葉ゴール,枝ゴール試料である。化石ゴールの遊離態成分ではn-アルカン,バクテリア由来のホパン,被子植物バイオマーカーのオレアネンなどが検出された。化石ゴールの加水分解成分は,おもに植物の表皮に由来するクチン酸であった。化石と現生の枝ゴールのみに,2種類のクマール酸が見出された。クマール酸は,枝ゴールを同定する候補化合物となることを提示できる。また,化石ゴールの熱分解成分からは,没食子酸に類似するポリフェノール化合物を見出した。
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© 2009 日本地球化学会
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