抄録
カルシウム (Ca) は人体において5番目に多い元素であり、生命活動の維持に不可欠な生体必須元素である。生体反応の多くが金属元素を含む酵素によって制御されることから、金属の代謝を用いて反応や制御機構の解明をめざす生体金属支援機能科学が注目を集めている。本研究ではヒトの体内におけるCa代謝を同位体によって解読することを目的とし、定期的サンプリングが可能な血液を試料とした。最終的に得られたCa同位体分析結果は骨密度等の生化学データ、ヒトの乳汁や乳製品 (Chu et al., 2005)、マウスの体組織(Hirata et al., 2008) のデータを加え、Skulan and DePaolo (1999) が提唱した骨形成時のCa同位体分別機構に基づき議論を行う。