抄録
オホーツク海中央部の堆積物直上海水中の全可溶マンガンや鉄濃度を調査する目的で, 8本のマルチプルコア試料が採取された.堆積物直上海水のpH, 溶存酸素濃度,全可溶マンガンおよび鉄量の測定を行なった.溶存酸素と全可溶鉄濃度には,強い負の相関が認められた.また,これまでの研究にて報告された結果と比べて,いくつかの地点では本研究で示された全可溶鉄量が比較的高いことが明らかとなった.以上から,これらの地点の海水−堆積物境界では比較的還元的な状態にあり,鉄が堆積物からが溶出していることが示唆される.