抄録
コンクリートは、質・量ともに現代社会を支える重要な物質材料である。しかし、この人工岩石とも言える材質の長期的な変質プロセスについては、未だよく理解されていない。コンクリートの劣化は、セメントに含まれる石灰分と、水+大気中のCO2の化学反応(中性化)に伴う組織劣化である。我々は、コンクリートの組織劣化の定量的な指標として放射性炭素(14C)を新たに提案し、14Cの化学的定量性・感度、および反応時間の指標としての適用可能性についての検討を行っている。本講演においては、特に、宮城県東北部の本吉郡南三陸町歌津海岸、館浜と浪板の地点に露出する石灰質砂岩を用い、長期的なコンクリート劣化のアナログ的調査を行った結果について紹介する。