抄録
近年、顕微鏡技術や蛍光色素の発展により、環境中の微生物を、蛍光顕微鏡によって検出・計測する方法が盛んに行われてきている。この方法は、生物の姿を直接、高感度に捉えることができ、また、各種の蛍光色素を組み合わせることにより、細胞の活性状態を知ることができるなどの利点があり、地球圏外生命探査においても、有力な分析手法になりうる可能性がある。しかしながら、生物と非生物の正確な識別法や、操作の簡素化、機器の軽量化や自動化など解決すべき課題も多く残されている。本研究では、酵素活性・核酸・細胞膜検出蛍光色素等を組み合わせた多重染色法や、細胞内pHを利用した検出法を用いて、生物と非生物の識別法について検討を行った。また、検出した微生物をマイクロマニピュレーションによって取り出し、遺伝子解析等により分析する手法についても検討し、蛍光顕微鏡を用いた圏外生命探査法の今後の展望について議論する。