日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 3D09 19-03
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ナノジオケミストリー・地球の物質の基礎化学
赤鉄鉱(alpha-Fe2O3)ナノ粒子のサイズ制御合成とその有害金属取り込み機構に関する研究
*森 亮順稲木 圭宇都宮 聡
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キーワード: ヘマタイト, ナノ結晶, EM
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抄録
鉄酸化物は地球表層上に広く存在し、高い表面積と、酸化還元能、高い吸着能を持つため、地球表層上における有害重金属の挙動を知る上で重要な役割を果たすと考えられる。また、鉄酸化物はナノ粒子(1~50 nm)で存在することが多く、その物理化学的特性(e.g.粒径が小さくなると荷電ゼロ点の変化はないが、表面電荷の絶対値は大きくなる)などが粒子サイズに依存することが知られている(Madden et al.2006)。今回は、鉄酸化物の中で赤鉄鉱(alpha-Fe2O3)に焦点を当てる。赤鉄鉱は自然環境中で最も安定な鉄酸化物の1つであり、特に乾燥した好気的環境において最も安定である。まず、赤鉄鉱のサイズ依存性の調査を行うために、Schwertmann et al.(2000), Madden et al.(2006)の合成法を参考にサイズの異なるナノ粒子の無機的合成法の確立を目指した。大きい方の粒子(LP)は40 nm程度、小さい方の粒子(SP)は10 nm以下を目標とした。XRDの結果から、ナノ粒子が生成される際、(104)面に対し(110)面が優先的に生じることが示唆された。また、SPの結晶化度を高めるために合成のパラメータを変化させたところ、加熱時間によって粒径に変化が見られ、沸騰水に20分かけてFe(NO3)3溶液を滴下し、滴下終了後加熱をやめた場合、最適な粒径(~7.98 nm)が得られた。次にAs、Niと赤鉄鉱の共沈実験を行った。XANESスペクトルの結果から、重金属元素の赤鉄鉱への取り込み(少なくとも100ppm以上)を示唆する結果が得られた。
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© 2009 日本地球化学会
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