抄録
典型的な湧昇地域である赤道太平洋ペルー沖およびアラビア海の第四紀堆積物コアに含まれる石灰質ナンノ化石の透光帯種と下部透光帯種の相対量と堆積有機物のδ15N値とδ13C値の変動関係を検討した。ペルー沖では透光帯種と下部透光帯種の相対存在量は、55万年前から約30万年前までは高く、約25万年前から現在まで低く、堆積有機物のδ15N値にも同様な変化があることを明らかにし、ペルー沖では約25万年前を境にして海洋水塊構造に大きな変化があったことを報告する。さらに、アラビア海における透光帯種と下部透光帯種の相対存在量にも、約20万年前で明確な相違があることが確認された。これらの変動と水塊構造の変化について報告する。